お金と仕事
「もし京都が東京だったらマップ」が話題 制作者の「街を見る力」
SNSで「もし京都が東京だったらマップ」が反響を呼んでいます。京都のさまざまな場所を、イメージが合う東京の地名に置き換えてみた地図。制作者に話を聞きました。
お金と仕事
SNSで「もし京都が東京だったらマップ」が反響を呼んでいます。京都のさまざまな場所を、イメージが合う東京の地名に置き換えてみた地図。制作者に話を聞きました。
京都の「北山」は東京で言う「代官山」、二条城のあたりは「清澄白河」。JR京都駅は品川駅。そんな「もし京都が東京だったら」の空想が1枚の地図になり、SNSで話題になっています。制作者は、京都で宅地建物取引士として不動産の企画事業を営む女性。仕事や趣味の中で続けてきた「街歩き」で培った「街を見る力」に迫りました。
京都を拠点に、シェアハウスや住人自らが改修できるDIY物件の仲介・企画をしている岸本千佳さん(30)。自身のブログで「もし京都が東京だったらマップ」を公開したところ、フェイスブックやツイッターに広く拡散し、ブログには16万以上のアクセスがありました。
四条烏丸~河原町は若者の多さから「新宿・渋谷」。北山はマダムが住む高級住宅街をイメージして「代官山」としました。京大がある吉田は東大のある「本郷」に、コーヒーショップが増えてきた二条城周辺は「清澄白河」です。
岸本さんが「一番しっくりきた」のは、JR京都駅を品川駅に見立てたことです。「基本、新幹線に乗る時くらいしか行かないところ。飲みに行くということもまずないですよね」
京都と東京に縁があった人なら、「なるほど」とうなずける部分は他にもたくさんあるはず。見るたびに思わぬ共通点に気づかされ、奥が深いです。「首都圏に住む人や法人からの移住・移転相談が一番多い」と言う岸本さん。このマップは首都圏の人がパッとイメージできるように作りました。
「地価やその他の指標を参考にしたわけでもなく、私の肌感覚を形にしました。もちろんこれが正解というわけではないです。本音を言えば、こういったマップをきっかけに実際に京都の街を歩いて本当に自分が生活してみたい場所を見つけてほしいんです」
ツイッターやフェイスブックでは多くの人がこのマップを話題にしています。
東京者として、これは新鮮で興味深いな~。ふーむ、なるほど。→『もし京都が東京だったらマップ』 https://t.co/3rIvHOYBIy
— うさ親父 usaoyaji (@usaoyaji0226) 2015, 12月 17
面白い。今までに一番タメになる京都マップかも◎ - もし京都が東京だったらマップ https://t.co/C6Hvwo3d3m
— トザワユタカ (@ytktz) 2015, 12月 16
このマップめっちゃオモロイwww そりゃご近所に某京漬物屋さんや某下着メーカーの社長宅があるからな、僕の実家は東京くんだりじゃ代官山とか白金でっせwwwwww(その裏で蒲田は九条相当かよwww←) ⇒ もし京都が東京だったらマップ https://t.co/3CIL6VoEI7
— キム@ネコなまず♪ヤマト2199 (@colonelkimura) 2015, 12月 14
京都・宇治市出身の岸本さん。高校生の時から「古民家のリノベーションをやってみたい」との思いがあったそう。「古いものがあって当たり前という京都の価値観の中で育ちました。それをどう生かすかに興味がありました」。文系コースから理系に転じ、大学で建築を学ぶことを決めました。
卒業後は東京の不動産ベンチャー企業に就職。折しも、当時の東京は空前の「シェアハウスブーム」。入社した会社でもシェアハウスを手がけるようになったばかりでした。以降、岸本さんは14年に独立して京都にUターンするまで、一貫してシェアハウス事業に関わるようになります。
「『シェアハウスをやってみたい』と物件のオーナーさんからたくさん相談を受けました。本当にうまく行くかは、やっぱりその土地を見ないと分からない。見るべきは街の『雰囲気』や『空気』、そして『人』です」。地元の人がたくさん訪れそうな喫茶店に入ったり、住民の世間話に少し耳を傾けてみたり――。岸本さんは相談を受けるたび、上司とともに物件の周辺を歩き回ったそうです。
徐々に「街を見る力」を付けてきた岸本さん。たまたまシェア業界を取材していた消費社会研究家の三浦展(あつし)さんとの出会いも大きいものでした。三浦さんは大の散歩好き。三浦さんに誘われるまま、東京の下町のあちこちに出歩き、街の「息づかい」を確かめました。
カメラを持ち、気になる景色があれば記録。仕事の疲れも忘れ、休みのたびに街に繰り出しました。仲間とともに三浦さんの事務所で感想を述べ合うことも。「自分にとって本当に大切な体験だった。『ちゃんと足を運ばないと、いい不動産の仕事はできないな』ってわかりました」
ベンチャーにいた5年間で、立ち上げや運営などに関わったシェアハウスの数はおよそ30軒。「出身地の京都でも経験を生かしてみたい」と昨年Uターンしました。今年から自営でシェアハウスやDIY物件の事業を始めています。それと並行し、京都への移住者を支援するプロジェクト「京都移住計画」にも関わるようになりました。
「京都移住計画」は、さまざまな社会経験を持つ10人で進めているプロジェクトで、サイトでは多くの「移住者」の体験談を紹介。京都の企業の採用情報も紹介しています。岸本さんは「仕事と住まい、そして暮らしのバランスがよければより豊かに暮らせると思います。移住を希望している人たちは、前向きに自分の人生を自分で切り開こうとしている人が多く、私自身にとっても大きな励みになっています」と話しています。
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きしもと・ちか
1985年京都生まれ。滋賀県立大学環境建築デザイン学科卒業後、東京の不動産ベンチャーに入社しシェアハウス事業立ち上げに従事。2014年京都にUターン、DIYPや京都移住計画にて活動。2015年より空家プランニング創業、不動産企画・仲介・管理の一括化で本格的に空き家活用を業とする。
京都で暮らしたい人の想いをカタチにする、移住応援サイト。住む・暮らす・働くという面から移住をサポートしています。面白い会社の仕事を紹介したり、移住者同士の交流会を開催したり。京都移住を実現しましょう。
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