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段ボール製高級車「ダンボルギーニ」誕生!石巻の社長、復興への思い
宮城県石巻市の段ボール加工会社が、段ボールを使ってほぼ原寸大のランボルギーニのレプリカを作りました。「ダンボルギーニ」です。
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宮城県石巻市の段ボール加工会社が、段ボールを使ってほぼ原寸大のランボルギーニのレプリカを作りました。「ダンボルギーニ」です。
宮城県石巻市の段ボール加工会社が、段ボールを使ってほぼ原寸大のランボルギーニのレプリカを作りました。愛称は「ダンボルギーニ」。都市部への人材流出が止まらない地方から、誇りに思える物を作りたい――。そんな思いが込められています。
制作したのは石巻市桃生(ものう)町の強化段ボール加工会社「今野(こんの)梱包」。高級スポーツカーの代表とも言える「ランボルギーニ・アベンタドール」ならぬ、「ダンボルギーニ・アベンダンボール」を社員有志で制作しました。もちろん名前から想像できる通り、強化段ボール製。今年5月から仕事の合間に作り始め、11月にようやく完成させました。
ヘッドライトとテールランプにはレーザーカットしたアクリル板を装着。通気口やエンジンフード、ホイールなど、約500のパーツで精巧に再現されています。ただエンブレムに描かれているのは眼鏡をかけた乳牛です。「さすがに本家本元に迷惑をかけてはいけないと思いまして…」と今野英樹社長(43)は話しています。
それにしてもなぜ「ダンボルギーニ」を作ろうと思ったのでしょうか。今野さんは狙いをこう話します。
「弊社のある桃生町は石巻市中心部から離れています。農村地域であって、活発な商工業がない。20代前半の志ある若者たちはみんな外へ出ちゃうんですよね。そういう守っていくものしかないという状況にある中、『あの大人たち、なんか面白いことやってるな』と若い人に思ってもらって、世界に通用する技術を持っている会社だということをPRしたかったんです」
そんな時に思いついたのが、子どものころからの憧れだった「ランボルギーニ」を作ってみること、だったのです。
今野さんは言います。「段ボールを使った表現方法は無数にあるはずだ」。実は今回の原寸大ランボルギーニの組み立ては約3年前からの計画でした。13年に1/8モデル、昨年は1/2モデルを制作して、原寸大の完成イメージを膨らませてきました。そこまでしてでも、会社が持つ梱包設計の技術を結集させた物を作りたいとの思いが強かったのです。
ようやく完成にこぎ着けたダンボルギーニ。「これで次世代の人に興味を持ってもらえるようなアプローチはできた」と社長は誇らしげです。色違いの2台目を作ろうか、エアロパーツも作ろうかと夢はさらに大きくなりますが、制作だけに関心があるわけではありません。
「石巻はまだまだ震災復興が遅れている部分があります。あの震災についてだんだんと関心が薄れていく中、石巻の桃生町から面白い情報を発信できたらと思っています」
12月23日にJR石巻線女川駅前の商店街に今野梱包のショールームがオープンします。ダンボルギーニはそこでしばらくの期間展示される予定です。
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