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自転車保険、選ぶポイントは? 酔っ払い運転もOK? 兵庫は義務化

兵庫県で義務化された自転車保険の加入。選ぶ際に気をつけるべきポイントは? 専門家に聞きました。

生徒たちの前で、交通事故を再現するスタントマン=埼玉県加須市の加須東中学校
生徒たちの前で、交通事故を再現するスタントマン=埼玉県加須市の加須東中学校 出典: 朝日新聞

目次

 兵庫県で義務化された自転車保険の加入。裁判では1億円近い賠償額を請求され自己破産したケースも。なぜ今、義務に踏み切ったのか。加入の際に気をつけるべきポイントは? 専門家に聞きました。

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自転車条例ってなに?

 10月1日、兵庫県内で自転車を利用する全ての人は、自転車保険の加入が義務となりました。今後、県内で乗る際に、事故で生じた「他人の生命または身体の損害を補償する」保険に入っていないと県の条例違反になります。

 罰則はありませんが、県や県警は乗り手の意識が高まり、保険加入の促進を図ることを目指しています。

 すでに自転車保険や、個人賠償責任保険などに加入されている方や事業所などは、新たに加入する必要はありません。兵庫県企画県民部の交通安全室によると、義務化される直前の9月から10月にかけて、県民の方から、『どうすればいいの。どこに行ったら入れるの』という電話が連日100件近くかかってきたそうです。

朝方には通勤や通学で自転車を使う人々が多く見られる=西宮市和上町の国道2号
朝方には通勤や通学で自転車を使う人々が多く見られる=西宮市和上町の国道2号 出典: 朝日新聞

賠償額9521万円 加害者側は自己破産

 なぜ県は全国初の条例を施行したのでしょうか? 背景には自転車と歩行者の事故で高額の賠償事案が全国で相次いだことがあります。

 特に神戸地裁では2013年7月、60代女性をはね、脳に重い障害を負わせた当時小学5年の少年の母親に、9521万円の賠償を命じる判決が出ました。ですが、同11月の高裁でほぼ同額の賠償を命じられた後、母親は一切賠償金を払うことなく2014年6月に自己破産してしまいました。

 警察庁によると、自転車の事故は昨年、全国で10万9269件(うち死亡事故542件)でした。2004年よりも7万9千件減っていますが、自転車対歩行者は2551件(うち死亡事故2件)で04年とほぼ同数の状態です。

自転車同士の事故の再現で倒れるスタントマン。生徒たちは真剣な表情で見守っていた=神奈川県伊勢原市の伊勢原高校
自転車同士の事故の再現で倒れるスタントマン。生徒たちは真剣な表情で見守っていた=神奈川県伊勢原市の伊勢原高校 出典: 朝日新聞

賠償金どうしよう 保険のプロ「特約が割安」

 1億円近い賠償金なんて、とても普通の人には払えません。保険を選ぶ際のポイントは? 悪質運転はカバーできる? 商品の開発に長く携わってきた損害保険会社の専門家に聞きました。

――無駄なく保険に入る方法は?
 まず、今入っている保険を確認してみましょう。現在ある自転車保険は、けがの補償と賠償責任の組み合わせです。このうち賠償責任の割合は、1億円補償でも保険料は年1000~2000円ほどで、けがにウエイトを置いた設計になっています。

 極端な話、賠償保険のみ加えるなら、火災保険や自動車保険などの損害保険や、傷害保険などのベースに『特約』として加える形が割安になります。火災保険は、対象物件の住所に居住している人は保険の対象になります。特約で付けられるか、確認してみてください。

――ベースとなる保険がない場合は?
 クレジットカードにはオプションで付けられるものがあります。傷害・賠償の何を自分が持っていないのか、特約で補えないか、調べてみる価値はあります。

自転車保険の案内
自転車保険の案内 出典: 朝日新聞

――チェックするべき項目は?
 万が一に備えて、示談交渉付きかどうかも確認してみましょう。今は交渉付きが一般化しています。

 自分や家族の身を守る上で、死亡や傷害も加える必要があるということなら、損保各社の自転車保険や、TSマークの保険などの賠償額を調べて加入する形になるでしょう。

――「酔っ払い」など悪質運転の保険金は出る?
 被害者保護のため、賠償はまず確実に支払われます。あと、加害者の治療については、保険契約上は『故意と重過失は免責』とはなっていますが、重過失は非常に認定が難しい。部屋の中でたき火をして火事になったというような極端な条件でないと認定できません。免責は消費者保護との間で問われてしまうリスクがあります。運転者の罪を問うのと、補償・賠償は、切り離されて進められます。

1億円保険付きの自転車。レイニープレミアホーム=ホダカ提供
1億円保険付きの自転車。レイニープレミアホーム=ホダカ提供

他県に広まる? 追随する動きは

 自転車保険の義務化条例は他県に広まるのでしょうか。兵庫県の交通安全室には、条例が施行されてから複数の県や区、市から資料の問い合わせがあったそうです。

 担当者は「他府県の県議の方が来られて、質問されることも多いですね。やはり、都市部を多く抱える県からの視察が多いです。条例を検討する上での参考ということで、まだ具体的に提案したという段階までは聞いていませんが」と話しています。

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