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2015年11月15日

三井物産、博士課程採用スタート!採用担当者が求める「多様性」とは

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三井物産のロゴマーク

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出典: 三井物産提供

 総合商社の三井物産が、大学院博士課程の新卒者に限定した採用活動を始めました。ここ最近、博士課程を修了しても研究機関のポストは限られ、希望の職に就くことも難しいといった将来への不安から来る学生の「博士離れ」が指摘されています。こうした中での今回の採用活動。ネット上では「これは極めて良い傾向」「こういうのはもっとあってもいい」との声が出ています。今回の異例の採用活動を発案した三井物産の採用担当者にインタビューしました。

止まらない学生の「博士離れ」

 近年、学生の「博士離れ」が進んでいる現状があります。文部科学省が実施している「学校基本調査」によると、博士課程への入学者数は2003年の1万8232人をピークに以降は減少。14年は1万5418人となっています。ちなみにこのうち6千人弱は社会人入学者。また、学部入学者は増減を繰り返していることを踏まえると、学生の博士離れはいっそう目立ちます。

 博士離れの理由に挙げられるのが「将来への不安」。大学や研究機関のポストは限られ、博士号取得後に任期付きの研究員となるポストドクター(ポスドク)の高齢化も進んでいると言われます。民間への就職を目指すとしても、採用後の社員教育に重点を置く多くの企業からは、博士課程まで進み、ある程度の年齢を重ねた人は「専門分野に固執しすぎ」「視野が狭い」といった印象を持たれがちでした。

ツイッターで反響「いい傾向」「もっと広がって」

 さて、そうした中での三井物産の博士課程新卒採用の動きに注目が集まっています。ツイッター上では「おお、これは!」「いい傾向だ」などと新鮮に受け止められているようです。



採用担当の狙いは

 今回の選考を社内で考案したのは、同社人材開発室の亀山巌さん(40)。どのような狙いがあるのか尋ねました。

 ――どうして博士課程の学生に注目したのですか。

 博士課程新卒採用は初めての試みということで進めています。そもそも当社が新卒採用をどのような観点で捉えているかということについて、最近、割合が高まっている修士の院修了者を例に説明します。まず、院修了者が学部生より2年間学んだことで得た専門性を期待しているかと言うとそうではありません。ふつうに学部となんら変わらずフラットに修士も見ています。学部生と同じように、これから育てるというジェネラリストとしての期待をしています。

 ただ、2年間のうち、学部よりも院に進んで修士として学術的なプロセスの中で鍛えられたことで、学部生よりも一段上の思考力を持って入ってきてくれるだろうなと期待しています。これはあくまで仮定で、理系での話ですが、学部生は実験のテーマを与えられ、さらに実験のやり方や内容も全部指示されてそれで実験して結果だけをまとめるものだとすれば、おそらく修士はそれよりも一歩自由度が高くて、仮説を立てるところから実験方法の組み立てまで任される、それによって任されるフィールドが増え、自分で考える力もより深さを求められるということになると考えます。こうしたプロセスの中で鍛えられた能力に期待するわけです。

 ――学問の専門知識というよりも、そこで得られた思考力に期待しているわけですね。

 その延長線上で私は今回の博士課程採用を考えています。専門性を問わないということは、文系か理系かも問いません。博士課程で研究してきたことを生かすもよし、生かさないもよしなんですけど、生かすということを前提には考えていないんですね。ただ、ここでも先ほどと同じように、修士よりもより幅が広く、そもそもテーマ設定から自分で考えていかなくちゃいけない環境の中にあって、つまり白紙のカンバスのような、今自分がいる学術領域の中で何が次のテーマになり得るのか、ということから設定し、知的な生産を行ってきた人はそれなりの能力を持っているだろうということに期待しています。そういう人こそが、新しいことにチャレンジし続け、今世の中にない仕事をいかに作っていくかというミッションを背負ってくれる人物に合致すると考えているのです。

三井物産が入居するビル

三井物産が入居するビル

出典: 同社提供

属性の多様性よりも経験・考え方の多様性

 ――ただ、一方で自社内での養成を重視する傾向が日本の企業にはずっとあり、そうした立場からは博士課程の人たちは「専門性に固執しすぎている」といったように見られてきたと思います。

 ええ。そうした点では正直なところ、チャレンジの部分もあると思っています。一般的な博士課程の在籍者へのステレオタイプな見方があるというのは認識していますし、実際にそうだったとも思います。ノーベル賞を取るような方がジェネラリストかと言えばそうではないわけで、思い込みもおそらく強いでしょうし、やると決めたところはとことん突き詰めるタイプの方たちだとは思うんです。なんですけれども、一定数のプールのサイズになってきていれば、そういう人たちだけはなないというのもまた事実だと思っています。当社では既卒者もOKとして新卒採用をしてきたので、これまでも博士課程の方が新卒の中に混じってはいるんですよ。そういう人たちを見ていると、適応外というような方ではなくて当社の中でふつうに活躍している人たちです。いい人材はいるという自信はありました。

 ――これはうがった見方なのかも知れませんが、博士課程を修了してもその先の将来が見通せないといった不安があります。こうした点について、今回、ある意味では救いの手を差し伸べたという見方はできるのでしょうか。

 私どもはやはり営利企業ですので、社会的意義を先行させて博士課程新卒採用をしたわけでは正直ございません。あくまでも、私たちとしてはどこに優秀な人たちがいるのかと。そしてどう見極めたらその人たちを獲得できるのかというのが採用の視点でございます。救いの手を差し伸べるというのが根本にあるわけではございません。ただ、一切そういうことを顧みなかったかというと、そうではないです。新聞を読んでいてもそういうことはありますしね。逆に言うと「チャンス」と捉えたわけですね。そこに優秀な人が溜まっているという可能性があるわけですから。そういう状況が後押しになったということはあります。博士課程採用がニッチだという認識はしています。ですがそこに優秀な人たちがいるのであれば、獲りに行きたいと思っています。

 当社は「人」にかける気概というのはあるつもりでいます。特に多様性、ダイバーシティという観点では以前から強く意識しています。ただ女性だ、外国籍だというような属性としてのダイバーシティではなくて、同じ日本人だろうが外国籍であろうが、「経験」とか「考え方」のダイバーシティ、頭の中身を重要視しています。海外で日本にはない教育を受けてきたり、生活を経験してきた人たちの考え方や経験の多様性を重視して、グローバル採用に力を入れています。こうしたダイバーシティの観点で言えば、海外経験は積んでいないですが、ニッチな多様性を求めて外に出て採用活動をするのと同じようなものとして博士課程新卒採用を考えています。私たちがこれまで積極的にはカバーしていなかった領域で、これまでとことん突き詰めて頭を使ってきた人たちは多様性の観点からも面白いのではないかと。こう思うんです。

 ――なるほど。多様性というと「属性」の部分に考えが行きがちですが、要は「考え方の多様性」ということなんですね。

 女性だったらいいのか、外国籍だったらいいのかということでは本来はないですよね。その裏にあるもの、考え方だったりアイデアだったり経験からくる価値観だったりという多様性が会社にプラスに作用するからダイバーシティが必要だということなんだと思います。そう考えると、博士課程というクローズドな世界でホンモノを極めてきた人たちはやっぱり面白いんじゃなかろうかと思いますね。

 ――今回の採用について、学生の反応はいかがでしょうか。

 新鮮な驚きを持って受け止めていただけているようです。現時点で応募が殺到しているわけではないですが、「物産がそんなことをするんだ」というような反応がありますね。でもやっぱり多いのは「何を期待しているんですか?」という声ですね。さらには「嬉しい」といった声も聞きます。「自分たち、まったく相手にされていないと思ってました」と。私どもはそういうつもりだったわけではないんですけれども(笑)。積極的に博士課程の学生をターゲットに据えたことで、自分たちってターゲットなんだと認識していただいたようです。

ケニア出身の三井物産社員(右端)が演じる交渉相手から、何とか商談をとりつけようとするビジネス交渉体験企画に参加した大学生たち

ケニア出身の三井物産社員(右端)が演じる交渉相手から、何とか商談をとりつけようとするビジネス交渉体験企画に参加した大学生たち

出典: 朝日新聞

採用人数に上限なし!会社説明会も

 亀山さんによると、採用人数を設定しておらず、「いい人がたくさんいたらたくさん採用させて頂きたい」とのこと。また、博士号の取得は「大前提としているわけではない」としていますが、取得できなくても採用する、との確約はできないそうです。

 選考の対象者は大学院博士課程(後期)を修了済、もしくは 2016 年 3 月末から 2017 年 3 月末までに修了見込みの方です。12月1日まで募集しています。採用HPから応募できます。

 11月25日午後6時から、東京都千代田区丸の内一丁目1番3号の日本生命丸の内ガーデンタワー9階で博士課程採用説明会があります。参加には同社の採用HPでの事前登録が必要です。

三井物産採用ホームページ

三井物産本店前の主役は私…カルガモ親子のお引っ越し
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岩場で羽を休めるカルガモの親(手前)と7羽の子=2013年6月13日
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出典:朝日新聞
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