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中島美嘉、突然福島で草むしり ボランティアの打ち上げは無料ライブ

4時間のボランティアが音楽ライブチケットと引き換えになる―。米国発の社会貢献イベント「RockCorps」の日本版が2年目を迎えました。

福島県二本松市で草むしりをする中島美嘉さん=RockCorps supported by JT 実行委員会提供
福島県二本松市で草むしりをする中島美嘉さん=RockCorps supported by JT 実行委員会提供

目次

 ボランティア会場にPUFFY、中島美嘉さんが福島県の仮設住宅で草むしり―。この人気アーティストたちをつないでいたのは、おそろいのTシャツに書かれていた「RockCorps」(ロックコープス)という文字です。これは、米国の同名企業が10年ほど前に始めた社会貢献イベントで、レディー・ガガもかつて参加。日本版が現在開催中です。東日本大震災からもうすぐ4年半。震災復興ボランティアの参加者が減っていくなか、昨年から始まったこの取り組みは今年も約4千人のボランティアを目指しており、音楽を通じた支援として一役買っています。

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「ボランティアでライブチケット」

 イベントの中身は、4時間のボランティアで4時間の音楽ライブチケットが得られるというシンプルなもの。今年は、5月末から9月4日まで100回以上の震災復興ボランティアが予定され、9月5日にPUFFYらによる「セレブレーション」(ライブ)が開かれます。

 8月下旬、東京都渋谷区のビルの一室にボランティアに応募した20~40代の男女19人が集まりました。津波被害にあった写真の修復活動をするNPO法人「フォトサルベージの輪」(千葉県柏市)が作業の説明をしているところに、サプライズゲストとして登場したのはPUFFYの大貫亜美さんと吉村由美さん。

 洗浄された写真を丁寧にデジタル化したり、アルバムに整理したりする作業を参加者とチームワークよく最後までしました。終了後、参加者は9月5日に開かれるセレブレーションの参加引換券を受け取り、吉村さんは「またライブで会えるのが楽しみ。ハッピーなショーにしたい!」とコメント。この日は全体で約300枚の写真の修復が終わり、保管されていた福島県南相馬市に返還されました。

津波被害にあった写真の修復作業をするPUFFY=東京都渋谷区、丹治翔撮影
津波被害にあった写真の修復作業をするPUFFY=東京都渋谷区、丹治翔撮影
PUFFYと一緒に修復作業をするボランティア。洗浄された写真のスキャン、アルバム整理など作業を行った=東京都渋谷区、丹治翔撮影
PUFFYと一緒に修復作業をするボランティア。洗浄された写真のスキャン、アルバム整理など作業を行った=東京都渋谷区、丹治翔撮影
ボランティア終了後に手渡されるセレブレーションの参加引換券=東京都渋谷区、丹治翔撮影
ボランティア終了後に手渡されるセレブレーションの参加引換券=東京都渋谷区、丹治翔撮影

10カ国で16万人が参加

 ロックコープスは2003年にアメリカで誕生しました。基本理念は参加者のTシャツにもある「GIVE,GET GIVEN」(与えて、はじめて与えられる)。05年に事業化し、アメリカのほかイギリスやメキシコなど10カ国34都市で開催され、16万人以上が参加。

 目玉となるセレブレーションには、ガガのほかリアーナやマルーン5など大物アーティストが出演しています。日本では昨年に初めて開催。計144回のボランティアに4478人が参加し、コブクロやflumpoolらがステージに立ちました。

 今年も5月31日から9月4日まで、被災地の清掃や仮設住宅での交流、農業・水産業支援など20以上のボランティアプログラムが被災3県や首都圏で実施され、約4千人の参加を目指しています。今年のセレブレーションは9月5日。福島市のあづま総合体育館で、PUFFY・中島美嘉さん・HOME MADE 家族・will.i.amが会場を沸かせます。

日本初開催となった昨年のロックコープス=RockCorps supported by JT 実行委員会提供
日本初開催となった昨年のロックコープス=RockCorps supported by JT 実行委員会提供

ライブはボランティアの「打ち上げ」

 なぜ、セレブレーションと呼ぶのか?日本版ロックコープスを運営するサニーサイドアップの中山隆久さん(45)が「アーティストのライブは、各回のボランティアから続く大きなプロジェクトの打ち上げなんです」と答えてくれました。

 今回のPUFFYのように、ロックコープスではアーティストも「参加者」として何らかのボラ活をしています。そのゴールとして、一同が集まって盛り上がろう、というわけです。中島美嘉さんは8月、福島県二本松市にある同県浪江町の仮設住宅を訪れ、草むしりなど施設内外の清掃をしました。

中島美嘉さんと記念撮影をするボランティア参加者=福島県二本松市、RockCorps supported by JT 実行委員会提供
中島美嘉さんと記念撮影をするボランティア参加者=福島県二本松市、RockCorps supported by JT 実行委員会提供
草むしりボランティアをするHOME MADE 家族=福島県相馬市、RockCorps supported by JT 実行委員会提供
草むしりボランティアをするHOME MADE 家族=福島県相馬市、RockCorps supported by JT 実行委員会提供

震災3年、今だから支援の入り口に

 中山さんは2010年ごろから、自社サイトで海外のロックコープスを紹介。「社会貢献として日本でもやりたい」と思っていたところに、東日本大震災が起きました。

 中山さんはロックコープスから招待を受け、2011年7月にロンドンで開かれたイベントに参加。ウェンブリー郊外の公園で同僚と雑草除去のボランティアをし、UKの人気バンド「Primal Scream」らのパフォーマンスに酔いしれました。

 「まだ自費でライブに行けないティーンの子たちにとって社会貢献のきっかけとなっていた」とロンドンで思いを強くした中山さん。海外では公共施設のペンキ塗りや公園の草むしり、地域のごみ拾いなど身近なボランティアが一般的ですが、日本版では「東北復興」をテーマにパートナー・スポンサー探しを続けました。

 そして福島県と共催、JTが特別協賛という形で昨年に日本版がスタート。震災から3年が過ぎていたからこそ、「タイミングがよかった」と中山さんは振り返ります。このイベントはいわば、ボランティアに対価を払っているとも取られかねないですが、震災の風化が指摘され始めていたからこそ、「ボランティアに興味があったけど、なかなか一歩が踏み出せなかった人たちの入り口となった」と中山さんは感じています。

日本版ロックコープスを仕掛けた中山隆久さん
日本版ロックコープスを仕掛けた中山隆久さん

 その証拠に昨年の参加者は6割がボランティア未経験。PUFFYと一緒に作業をした静岡県の小池冴佳さん(29)さんも福島市に住む知人に勧められ初めて参加しました。「なかなかボランティアに行きたくても機会がなかったので、好きな音楽を通じて機会をもらえてうれしかった」と笑顔で作業を終えました。

 昨年に続き参加した埼玉県の石井英之さんは「ボランティアというより、楽しむという感じ」と魅力を話します。震災直後から支援活動を続けるフォトサルベージの輪の伊藤誠理事長(58)は「日常的なボランティアは減っているが、こうした取り組みだと参加しやすくなる」とロックコープスを歓迎。中山さんも「ハードルが低いロックコープスをきっかけにして、色々なボランティアにつながればうれしい」と話しました。

 ロックコープスへの参加は公式サイト「RockCorps supported by JT 2015」(http://rockcorps.yahoo.co.jp/)から。

関連リンク:ロックコープス公式サイト「RockCorps supported by JT 2015」

今年も大興奮のセレブレーションに

今年のセレブレーションは9月5日、福島市のあづま総合体育館で開かれました。ツイッター上では参加者たちの感想などがつぶやかれています。






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