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グルメ

近大ウナギ味のナマズ、銀座に殴り込み! 都会の食通うならせるか?

近畿大学が開発し話題をよんだ「ウナギ味のナマズ」が7月24日、土用の丑の日に合わせて、銀座で特別に限定販売されます。

近大水産研究所で特別に提供される「うなぎ味のナマズ御重」。税込み2200円也=近畿大学提供
近大水産研究所で特別に提供される「うなぎ味のナマズ御重」。税込み2200円也=近畿大学提供

目次

 梅雨が明けると、いよいよ土用の丑。今年はうな重より、ナマ重で夏バテ予防!?近畿大学が開発し話題をよんだ「ウナギ味のナマズ」が7月24日、土用の丑の日に合わせて、特別に限定販売されることになりました。企画を仕掛ける場所は、老舗の鰻屋が集まる東京・銀座。舌の肥えた都会のウナギ通をうならせることができるでしょうか?

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大ブレーク、一時は生産追いつかず

 「ウナギ味のナマズ」が世間にデビューしたのは今年5月でした。奈良県内の鰻料理店の協力のおかげで、初めての試験販売が実現しました。「言われなければウナギ」「あっさり目だけど、美味しい」とお客さんの評判は上々。クロマグロの完全養殖に成功した「近大マグロ」で話題の大学の試みとあって、テレビやネット上でも大きな反響を呼びました。1カ月のうちに注文が殺到し、一時は生産が追いつかないほどだったそうです。

5月に奈良県内の鰻料理店で初めて試験販売されたナマズのかば焼き(下)。ウナギ(上)と見比べると、見た目も匂いもそっくり
5月に奈良県内の鰻料理店で初めて試験販売されたナマズのかば焼き(下)。ウナギ(上)と見比べると、見た目も匂いもそっくり 出典: 朝日新聞

 香ばしい匂い、こってりした脂……。ウナギのかば焼きに見えるが、実はナマズだ。近畿大学の研究者と鹿児島の養鰻(ようまん)業者が協力し、養殖ナマズのエサを一工夫したところ、ウナギに似た風味になった。9日...

土用の丑の日、老舗集まる銀座に出現

 そんなブームを受け、今回の試験販売は近畿大学が全面的にバックアップしています。東京進出の舞台は、日本でも有数の老舗鰻屋「竹葉亭」や「神田川」が立ち並ぶ銀座。そんなナマズにとって完全アウェーの本場に乗りこむのは、たまたま2年前から、完全養殖クロマグロの専門料理店・近畿大学水産研究所(銀座6丁目)が出店していたためです。あえて「土用の丑」の日をねらい、養殖場でも残り少なくなったナマズを特別に確保したといいます。

2013年12月にオープンした近畿大学水産研究所銀座店=東京都中央区銀座6丁目
2013年12月にオープンした近畿大学水産研究所銀座店=東京都中央区銀座6丁目 出典: 朝日新聞

近畿大学水産研究所 ウェブサイトです。近大マグロをはじめ、近畿大学水産研究所が手塩にかけて育てたマグロ、マダイ、シマアジ、ブリ、カンパチなど近大卒の安心・安全・新鮮な魚を紀州の恵みと共にご賞味ください。

 7月24日の特別メニューはランチのみで、「うなぎ味のナマズ御重」税込み2200円。一般的なうな重より安くした、攻めの価格設定です。ふだんはマグロやカンパチ・ブリの刺し身がメーンの店で、かば焼き重は初めて提供するといいます。なお、同じ日には大阪・梅田のグランフロントにある大阪店でも売り出します。どちらも予約不可、先着30食限定です。(今年は8月5日も土用の丑ですが、この日の販売はありません)

近大水産研究所大阪店でも7月24日、「うなぎ味のナマズ御重」を味わえる=大阪市北区のグランフロント
近大水産研究所大阪店でも7月24日、「うなぎ味のナマズ御重」を味わえる=大阪市北区のグランフロント
出典: 朝日新聞

 「ウナギ味のナマズ」の生みの親、近大水産経済学研究室の有路昌彦准教授(40)は6年前、絶滅危機にあるウナギを救おうと、代替食材の研究に乗りだしました。鱗のない皮や生態などがウナギに似ていて、最もかば焼きに適した候補としてたどり着いたのが、日本固有のマナマズでした。昨年からは鹿児島・大隅半島の養殖業者が協力。水質のいい環境で、油分の多い海産魚用のエサを数種類ブレンドして与えたところ、それまで淡泊な味だったのが、ウナギに似た脂っこい風味になりました。切り方や焼き方も試行錯誤し、昨年秋にようやく研究者一同、「ウナギや!」と納得できるサンプルができました。

昨年11月、「ウナギ味のナマズ」の試作を手にする有路昌彦准教授(右)と研究者の和田好平さん(当時大学4年)=奈良市中町の近畿大学
昨年11月、「ウナギ味のナマズ」の試作を手にする有路昌彦准教授(右)と研究者の和田好平さん(当時大学4年)=奈良市中町の近畿大学 出典: 朝日新聞

 いまは生産体制を整えるべく、大手水産商社などと交渉を進めていますが、まだ養殖業者はこの1社のみ。ウナギと違って卵から成魚に育てる完全養殖ができるとはいえ、「ニーズは大きいが、まだまだナマズの種苗が足りず生産が追いつかない」(有路さん)のが現状です。「今後、しっかりとしたフランチャイズを結ぶ業者を増やしていきたい」といいます。

ウナギ類の総供給量の推移(2000年頃→2014年)
ウナギ類の総供給量の推移(2000年頃→2014年) 出典: 近畿大学

「ナマズでも十分アリでしょ」

 これほど有路さんらがナマズ開発に力を入れる背景には、ウナギの危機があります。養殖ウナギといっても、使われている稚魚は100%天然のシラスウナギです。完全養殖は実験に成功したものの、まだ実用化されていません。有路さんによると、世界的に乱獲が進み、ウナギ類の総供給量は15万8千トンあった2000年頃に比べ、2014年には4万6千トンと10万トン以上も激減してしまいました。しかも、消費者は7割が日本人ともいわれています。
 その減少分を「ウナギ味のナマズ」は潜在市場として狙っています。有路さんは「かば焼きはウナギに限ると思っている人も、一度味わってもらえば、ナマズでも十分アリでしょ、と思ってもらえるはず。このままいくと、国際条約の規制などでウナギは将来とれなくなるかもしれない。近大ブランドの美味しいナマズ食を広めて、ウナギを救うきっかけにしたい」と話しています。

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