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「子宮帰れ」「紅白豚合戦」…愛すべき「おかんメール」本が大ヒット
時折送られてくる母親からの爆笑メール。あなたも受け取った経験はありませんか?
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時折送られてくる母親からの爆笑メール。あなたも受け取った経験はありませんか?
「子宮帰れ」「紅白豚合戦をみています」――。時折送られてくる母親からの爆笑メール、あなたも受け取った経験はありませんか? 単なる誤変換から意味不明な文言、時には人生訓まで。ネット上にある名言が本になり、20万部を超えるヒット作になっています。「ネットでタダで読めるのに、金払って本買う人はいないだろ」と一度は没になった企画でしたが、担当者が執念で出版した結果です。
扶桑社が出版している「おかんメール」シリーズ。昨年5月に第一弾が発売されてから、9月に第二弾、今年1月に第三弾と短期間で立て続けにリリースされ、累計20万部を超えるヒット作となっています。掲載されているのは母親から子どもあてに送られたとされるメールの数々です。
ちょっとした誤変換など、文字入力に慣れていない、もしくは送信する前に見返さない、といったお母さんらしさあふれる作品が並んでいます。
この本の担当編集者は高橋香澄さん(45)。もともと週刊SPA!でサブカルチャーを中心に担当していました。TwitterやFacebookで他人の母親の面白メールが流れてくるのを見て、「まとめて本にしたら売れるかも」とひらめきました。
社内の企画会議に出したところ「ネットでタダで読める」との理由で没に。それでも諦めず、何度も企画を出し続けて「ネットと本では読者層が違います」「まとめて本にすれば読みやすくなります」とアピールした結果、「そこまで言うなら出してみれば」とOKが出ました。第一弾の発売は昨年5月の母の日に合わせました。
タイトルに「おかん」の文字が入っていたことから、まずは大阪で話題に。地元テレビやラジオの取材が相次ぎ、本屋で平積みされるほど人気になり、それが東京へと伝わってきたそうです。
ネット上の投稿を集めて出版するには苦労がありました。発信者をたどって許諾を得る作業に5人がかりで取り組みました。また、わかりにくい表現には注釈を追加。編集方針としては「下ネタは選ばない」「面白いだけでなくホロッとするいい話も入れる」を掲げました。
なぜ、こんなにヒットしたのか? 高橋さんはこう見ています。「見返さない、省略する、話が飛ぶ、思い込みがすごい、いつもご飯を気にしている……といったうっとうしいと思える母親の行動ですが、その根底には愛があふれています。面倒くさいけれど愛すべき存在である母親を、どこか誇りに思いつつ他人に伝えたくなる。そして他人の母親の面白さにも共感する。だからこそ話題になるんだと思います」
メールを受け取っているスマホ世代の人たちが母親になるころには、こんな面白メールはなくなっているかもしれません。デジタルと悪戦苦闘しながら生み出された母のメールは、今しか楽しめないものだと思うと、少し寂しいですね。
最後に、子どもを気遣う母からのメールをどうぞ。