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IT・科学

柴生田 里利紅さんからの取材リクエスト

宇宙飛行士の呼び方、なぜ違う?米国では「astronaut」、ロシアでは「cosmonaut」



地球では米ロ対立 その時、若田船長は…多国籍なISSで貫いた信念

国際宇宙ステーション(ISS)には、様々な国籍の宇宙飛行士が活動をしています。地球でウクライナ問題が発生した時、若田船長が心がけたのは「和の心」でした。

外国人の宇宙飛行士と一緒に訓練をする若田光一さん=2013年8月12日
外国人の宇宙飛行士と一緒に訓練をする若田光一さん=2013年8月12日 出典: 朝日新聞

目次

取材リクエスト内容

宇宙飛行士は米国ではastronautですが、ロシアの宇宙飛行士はcosmonautと呼ぶと聞きました。何故違う呼び方をするのでしょうか?国際宇宙ステーション(ISS)内では、どのように使い分けているのでしょうか? 柴生田 里利紅

記者がお答えします!

 国際宇宙ステーション(ISS)には、様々な国籍の宇宙飛行士が活動をしています。ISS自体はロシア製で、そもそも、宇宙飛行士という言葉一つとっても呼び方が違います。2014年に船長をつとめた若田光一さんが滞在中には、ウクライナ問題が発生しました。乗組員にはロシア人もいる中、若田さんが心がけたのは「和の心」でした。

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中国、「太空」と「naut」を組み合わせ

 宇宙飛行士は、米国では「astronaut(アストロノート)」、ロシアでは「cosmonaut(コスモノート)」と呼んでいます。JAXA広報部によると、中国では、中国語で宇宙を意味する「太空」とギリシャ語で乗組員を表す「naut」と組み合わせて「taikonaut(またはtaiconaut、タイコノート)」と呼んでいるそうです。

中国の衛星発射センターを出発して手を振る宇宙飛行士、2013年6月11日
中国の衛星発射センターを出発して手を振る宇宙飛行士、2013年6月11日

JAXAの宇宙飛行士は「アストロノート」

 呼び方が違う理由について、的川泰宣・JAXA名誉教授は「宇宙を指す語として、米国では『スペース』や『ユニバース』、ロシアでは『コスモ』をよく使うからではないか」と話しています。ちなみに「アストロ」は「星、天体」を意味する接頭辞です。

 JAXA広報部によると、JAXAの宇宙飛行士はアストロノートと呼んでいます。初めて搭乗した宇宙船が米国のスペースシャトルだったので、米国と同じ呼び方をしているそうです。国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙飛行士の輸送はロシアの宇宙船ソユーズを使っていますが、ロシア人宇宙飛行士以外はアストロノートと呼ぶのが一般的だそうです。

ISS、ロシアのモジュール以外は英語

 地上から約400km上空に建設された有人実験施設で、米国やロシア、欧州、日本などが協力して運用している国際宇宙ステーションでの共通言語は何でしょうか。JAXA広報部によると、ロシアのモジュールでは手順書は英語とロシア語の併記、地上との交信はロシア語。それ以外の米国や日本などのモジュールでは英語を使っているそうです。

国際宇宙ステーション=NASA提供
国際宇宙ステーション=NASA提供

米ロの政治的対立、若田船長「大切なのは対話」

 若田光一さんの4回目となるISS滞在では、ウクライナ情勢をめぐり米ロ関係が悪化しました。若田さんは船長として米ロ5人の宇宙飛行士と会話を続けました。ウクライナについてのニュースを見ながら、若田さんは海上サバイバル訓練を行った経験を。ロシア人飛行士はウクライナに住む親戚の話をしたそうです。

 若田さんは「大事なのは対話を重ねること。ISSは米ソの冷戦時には考えられなかったような国際協力を実現し、順調に進んできた。その事実を忘れてはならない」と語っています。

書初めで書いた「和の心」を手にもつ若田宇宙飛行士、2014年1月1日=JAXA/NASA
書初めで書いた「和の心」を手にもつ若田宇宙飛行士、2014年1月1日=JAXA/NASA

 JAXA広報部によると、ISS内の人間関係のトラブルを防ぐためにこのように対話を重ねる場合のほか、地上にいる精神心理の専門家との定期的に交信するケースもあるそうです。

ウクライナについてのニュースを見ながら宇宙では様々な会話をしたという。若田さんは海上サバイバル訓練を行った経験を、ロシア人飛行士はウクライナに住む親戚の話をした。「大事なのは対話を重ねること。ISSは米ソの冷戦時には考えられなかったような国際協力を実現し、順調に進んできた。その事実を忘れてはならない」
三菱電機 DSPACE 「和の心」で危機を乗り越えた-若田飛行士の188日間

油井宇宙飛行士「日本、米ロの懸け橋になりうる」

 今年5月下旬からISSに長期滞在する油井亀美也・宇宙飛行士(45)は、米テキサス州のジョンソン宇宙センターで16日に開かれた記者会見で「日本は米国とロシアの懸け橋になりうる」と話しました。


出典: 【動画】油井飛行士の訓練公開 「こうのとり」のドッキング想定:朝日新聞デジタル
 ――自衛隊のテストパイロットの経験が生きたことは何ですか?

 ロボットアームの操作やロシアのソユーズのドッキング訓練では、教官からの評価も高かったと思う。教官はなかなか褒めないものだが、「ここ数年で見たことがないくらい、よくできている」と言ってくれていたと、人づてに聞いた。自衛隊にいるときは、自分がロシアと協力して何かできるとは思っていなかったが、宇宙飛行士になってロシアに行ってみると、彼らは日本と協力したいと思っていた。日本は米国とロシアの懸け橋になりうる。
「ISSから積極的につぶやく」油井飛行士の一問一答:朝日新聞デジタル
関連リンク:的川泰宣さんが連載中のコラム「宇宙がっこう」(朝日新聞デジタル)

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