お金と仕事
ジャパネットたかた、高田社長退任 素朴なMCと緻密な顧客目線
テレビ通販で知られる「ジャパネットたかた」の高田明社長が16日、退任しました。父親のカメラ店を継いで、テレビ通販の代表的会社に育てた高田さん。その歩みを振り返り、番組づくりに隠された人気の秘密を探りました。
お金と仕事
テレビ通販で知られる「ジャパネットたかた」の高田明社長が16日、退任しました。父親のカメラ店を継いで、テレビ通販の代表的会社に育てた高田さん。その歩みを振り返り、番組づくりに隠された人気の秘密を探りました。
テレビ通販で知られる「ジャパネットたかた」の高田明社長(66)が16日、退任しました。
長男の旭人(あきと)副社長(35)が後任に就き、本人は同社役員から退きましたが、テレビやラジオではMCとして、あと1年は出演を続けます。父親のカメラ店を継いで、テレビ通販の代表的会社に育てた高田明さん。その歩みを振り返り、番組づくりに隠された人気の秘密を探りました。
【ご挨拶】2015年1月16日付で代表取締役 高田明が退任します。あと1年ほどはMCとしてテレビ・ラジオに出演予定ですので、引き続きよろしくお願いいたします。また、明日より新生ジャパネットが始動します!ご期待ください!
— ジャパネットたかたお知らせ担当 (@JAPANET_media) 2015, 1月 15
高田さんは1948年、長崎県平戸市のカメラ店に生まれました。外国語が好きで、英語やフランス語を熱心に勉強。大阪経済大学を卒業後、機械メーカーに就職してヨーロッパに約8カ月駐在しました。
その後、退職して翻訳会社を起こしましたがうまくいかず、帰郷。家業のカメラ店を手伝うことになりました。幸い、観光地として人気になった平戸は旅行客でにぎわい、商売は繁盛しました。86年に独立し、佐世保の店でホテルの観光客相手の撮影を始めます。
「宴会でご飯を食べるときは下を向くが、そんな写真は誰も買わない。お客さんが思い出として買っておきたいと思うのは、よい表情の写真。だから撮影の時は一生懸命声をかけ、気持ちよい写真になるようにした。そんな表情のお客さんが1枚に2人、3人と写っていれば、同じ写真を何人もが喜んで買ってくれる」
お客さんのよい思い出を残すことがそのまま業績に結びつく――。「ビジネスの原点のようなものを学んだ」と語っています。
大きな転機となったのは90年。地元の長崎放送のラジオショッピング番組でコンパクトカメラを紹介したら、わずか5分で50台も売れたのです。高田さんはその威力に驚き、放送による通販事業に本格的に取り組みます。わずか1年のうちに日本全国にラジオ放送する態勢を整え、94年にはテレビに進出しました。
社長が自らが出演して視聴者に語りかけ、商品の魅力を伝えるテレビ通販のスタイルはいまや、お茶の間でおなじみです。
2001年3月には、CSデジタル放送のスカイパーフェクTV!に専門チャンネルを開設するのを機に、自前のテレビスタジオを地元の長崎県佐世保市に建設。半年前から社員を制作プロダクションに派遣し、番組制作の技術とノウハウを学ばせるなど、「自前主義」を徹底しました。同年6月には地上波の生放送テレビショッピングも始めました。
視聴者をテレビ画面にひきつけるのは、素朴な長崎弁だけではありません。当日のコールセンターの込み具合、天気などを踏まえつつ、アドリブで紹介商品やセリフを変えていきます。
ある日のスタジオでの収録風景はこんな様子でした。
高田さんが放送中、足早にカメラの視野から外れ、携帯電話を取り出してコールセンター担当者と小声でやりとりを始めます。たった今、番組ですすめた商品への注文状況を確認しているのです。
電話が殺到していたら、次の出番で「いま混み合っていますので、お時間をおいてかけ直してください」とフォローし、逆に反応がいまひとつなら、放送時間中に商品名をもう一度プッシュします。
「そちら(東京)は暑いですか?」。スタジオからスタッフが慌ただしく電話。放送対象地域の天候を把握します。それによって、紹介する商品を本番5分前に変えることもあります。
オンエアが近づき、メイク室に座ってからも、高田さんは検討をやめません。「エアコンはSE(製品の型番)はある? SDは?」。たたみかけるように尋ねます。スタッフが携帯電話に問いかけ、すぐ回答。「SEは用意できます。SDはないそうです」
「あと1分半でーす」。進行担当者の声が響きます。「SEあるのね、よし」。メイクを終え、立ち上がります。SEとはシャープ製のエアコンのこと。予定を変更してこの製品の紹介を決め、一緒に、同じイオン発生機能を持つ同社の空気清浄機も取り上げることにしました――。
このようなきめ細かい番組づくりを地道に続け、ジャパネットたかたの13年12月期の経常利益は154億円と、目標の最高益を更新。これを機に、経営のバトンを長男に引き継ぐことを決めました。
高田さんは15日、自らのツイッターで、視聴者に感謝の言葉を伝えたうえで、「退任後も情熱を持ち続け、何歳になっても『青春』という気持ちで頑張っていきます!」と前向きな心境を語っています。
皆様、沢山のコメントをありがとうございます。29年間の社長業は今日で一旦区切りとなります。29年間、沢山の温かい応援をいただき誠にありがとうございました。テレビ、ラジオはMCという立場であと1年ほど出演する予定ですので、明日からも新生ジャパネットをよろしくお願いします!
— 高田 明 (@A_TAKATA) 2015, 1月 15
沢山のリツイートありがとうございます。
今日の生放送の最後はBSジャパンでミシンの紹介でした。
多くの方にご覧いただき、本当にありがとうございました。
退任後も情熱を持ち続け、何歳になっても「青春」という気持ちで頑張っていきます!
— 高田 明 (@A_TAKATA) 2015, 1月 15