話題
日本版「告発サイト」、2月に開設 ウィキリークスとの違いは
ウィキリークスに似た日本版の告発サイト 「ホイッスルブロウイング」(仮称)が2月に開設予定です。暗号化技術に詳しい、駿河台大の八田真行講師が開発しました。
話題
ウィキリークスに似た日本版の告発サイト 「ホイッスルブロウイング」(仮称)が2月に開設予定です。暗号化技術に詳しい、駿河台大の八田真行講師が開発しました。
暗号化によって告発者の匿名性を守り、政府や企業などに関する内部情報を幅広く受け付ける--。イラク戦争や米国外交公電などの機密を暴いたウィキリークスをはじめ、世界的に増えている「内部告発支援サイト」の日本版が近く開設される。その機能や特徴とは。
「Whistleblowing(ホイッスルブロウイング).jp」(仮称)を設立するのは、駿河台大経済学部専任講師で暗号化技術に詳しい八田真行氏(35)。19日に早稲田大学でセミナーを開き、その機能や意義を説明した。開設は来年2月を予定しているという。
このサイトは、ウィキリークスなど世界中の告発サイトが利用している暗号化技術「Tor(トーア)」を用いる。Torとは「The Onion Router(タマネギ・ルーター)」の意味。複数のサーバーを経由して情報をやりとりする際に、サーバーを一つ経由する度に、たまねぎの皮のように送信元のサーバー情報を脱ぎ捨てることで、送信者までサーバーをたどっていくことを防ぐ。Torは、この「階層的暗号化」と他の暗号化技術を組み合わせることで、匿名性を確保しているという。
ウィキリークスとの違いは、内部告発者が情報を届ける相手を選べることだ。Whistleblowing.jpでは、ジャーナリストや報道機関にサイトに登録してもらい、内部告発者はその中から情報の送信先を選ぶ。受信したジャーナリストらは各自で裏付け取材をし、報道するかどうか判断する。
リーク元からリーク先にデータを引き渡すだけで、基本的にわしは素通りだからのう(というかそれが匿名性維持のキモ)。自分でリークを分析したり記事書いたりしていたウィキリークスとはそこが違う
— Masayuki Hatta (@mhatta) 2014, 10月 19
日本ではTorの暗号化技術は、警視庁の国際テロ捜査情報の流出事件やPC遠隔操作事件などで注目されてきた。八田氏は「世界ではむしろ、暗号化によって情報提供者を守り、調査報道に役立つ面が注目されている」と話す。
実際、米ワシントンポストや英ガーディアンなどの伝統的なメディアも次々と暗号化技術を用いた告発サイトを開設している。
八田氏は「プライバシーや人権を守るツールとして、普及することを後押ししたい」と話している。
現在、情報の受け手となる記者や報道機関を受け付けており、1月には希望者に使用方法に関するトレーニングコースを始める予定だという。
セミナーの参加者から、特定秘密保護法との関係について質問が出た。特定秘密にあたる情報が投稿された場合、同法が定める「教唆」にあたる可能性はないのか。
八田氏は「このサイトはたんなる土管。特定秘密保護法を読む限り、このサイトがあることを『教唆』と捉えるのは難しいだろう」と答えた。
今後、弁護士にも相談し、利用規約をまとめるという。