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2014年11月22日

川上量生会長「コピーできない仕組みなら課金は可能」 前編

  • 60448

KADOKAWA・DWANGOの川上量生会長=古田大輔撮影

KADOKAWA・DWANGOの川上量生会長=古田大輔撮影

出典: 朝日新聞


 KADOKAWAと経営統合し、KADOKAWA・DWANGO会長に就任した川上量生氏(46)が朝日新聞のインタビューに応じました。出版とネットの融合で「クリエイターが儲かるプラットフォームを作りたい」と語る川上氏に、これからのコンテンツ産業や大型新サービス「ニコキャス」などについて聞きました。ほぼ全文を3回にわたりお伝えします。


「新旧世代の接点になるのがミッション」

 ――経営統合後の動きとして、地方の書店でユーザー参加型のネット中継イベント「ニコニコ書店会議」を開いていますね。

 イベントというのは象徴だと思ってるんですよね。リアルのイベントが面白いっていうことを強調するための象徴。普通は都心のね、すごく大きなお店がやっていたと思うんですよ。僕はそうじゃないと思っていて、地方でがんばっているんだけど、厳しい状況にある、地方のお店を応援したいという、そういうメッセージを伝えていきたいということを主張しました。

 特にね、シャッター街の中で唯一開いているようなところに行きたいんだって言ったんですよね。そういう場所はもうなくて。じゃあ、それだったら地方でやれている書店でやらせていただいた。二つ目も、北海道の留萌。それがメッセージですよね。ネットになってもリアルは斬り捨てないし、東京集中の時代ですけど、地方を見捨てないというのを、KADOKAWA・DWANGOとしてメッセージを出したいというのが趣旨です。

 地方とかイベント全体に言えるらしいんですけど、若い子が来ないらしいんですよ。うちもニコニコ町会議というのを全国でやっていて、地方の祭りとコラボレーションしているんですけどもね、地方の伝統的な、江戸時代から続いてるような祭りだって、もう若い子って来ないらしいんですよね。それが僕らが参加することによって、近所の若い子は全員来てるって。感謝されて。今、リアルな社会で、失いつつある若い世代と、現実との接点、古い世代との接点、それを回復していくのがKADOKAWA・DWANGOのミッションだと思ってます。

ニコニコ書店会議は第1回が鳥取県米子市で開かれ、二回目以降に北海道留萌市、山形県天童市などが続く

ニコニコ書店会議は第1回が鳥取県米子市で開かれ、二回目以降に北海道留萌市、山形県天童市などが続く

出典:ニコニコ書店会議

「リアルな流通網こそ武器」

 ―― KADOKAWAのコンテンツをDWANGOの力でどう売っていけばいいんでしょう。

  ネットで宣伝するといっても、バナーを張るみたいなことじゃないと思うんですよね。象徴としてのイベントはあるんだけども、旧来のコンテンツ産業が生き残っていくためには、ネット化しないとできないわけです。ネットに合わせて、どういうコンテンツのフォーマットに作り替えていくのか。それを提案できるのかというのが、僕らがやらなきゃいけないことです。

 今回も、書店でKADOKAWAの本を買うと、全員にポイントのカードがあって、そのカードでネットでも、という連動企画をやりました。そういう現実の本屋さんで買えるものが、そのままネットサービスにもつながっている。そういう商品を開発していくのが大事だと思うんですよ。

 そういうのって、意外と日本でも成功例ってあるわけです。今年だったら妖怪ウォッチ、その前だったらムシキングとか。ネットとも当然結びついているけども、リアルなものを媒介にして広がっていくものってたくさんありますよね。そういう商品を開発していきたいですよね。書店というプラットフォームで。

 ―― そうすると、ドワンゴ側にとってもメリットがありますね。

  あると思います。ネットオンリーでないサービスを提供する基盤として、KADOKAWAとの統合というのは意味を出さなきゃいけないですよね。

 ――KADOKAWAがリアルとの接続点になるわけですね。

 そうです。一緒にやらないとできないような企画は当然ありますんで。みんなアマゾンとかグーグルとか恐れているわけですが、じゃあ現実問題、お金を払っている人って、今、どっちが多いんですか。

 たとえばネットニュースがあります。でもネットで有料ニュースを購読しているよりも、紙の新聞にお金を払っている人の方が、全然多いんですよ。で、そのことに何でみんな気づかないのか。それはそのままネットにでてきたら、最強のメディアになりますよね。リアルな流通網を持っているのは古いってたたかれてるんだけども、本当はすごく強力な武器であって、それを持って闘うというのが正しいんですよ。

出典:imasia

「コピー天国の中国でも、サーバー型のコンテンツにはお金を払う」

  ――コンテンツビジネスでは、どうコンテンツを守っていくかが重要です。新しいコンテンツも出てくる中で、どう変わっていくのでしょう。

 今のコンテンツの根本の欠陥は、コピーされやすいということですよ。インターネット+パソコンの組み合わせっていうのが最悪で、万能複製マシーンなわけです、コンテンツの。で、その中ではあらゆるコンテンツがデータ化されて、お金をとっていくっていうのは難しいわけです。だって無料にあるものからお金をとるのって難しいですからね。それが一番大きな問題。これは基本的なことなんで、だからみんな違法コピー反対って言っていたんだけど、根本的には変わっていない。

 その中でお金をとれているコンテンツって何かといったらソーシャルゲーム。もしくはMMO(大規模多人数参加型オンラインゲーム)、これもサーバー型のRPGですよね。これもお金とれてるんですよ。これは日本だけでなく、中国の人からもお金とれている。あんなにコピー天国と言われていて、コンテンツにお金を払わないと言われていた中国も、サーバー型のMMOにはお金を払っているんですよ。それも結構高い値段。たぶん一人あたりのGDPから考えると日本よりも高い金額を払っているんですよ。

 だからコンテンツにお金を払わない人たちじゃなかったわけですよ。コピーがあるから払わなかった。コピーできないサーバー型のMMOだったから払ったんですよ。だから、コピーできないようなコンテンツをどうやって設計するかが重要なんです。今もそうです、ライブに行くのは、ライブはコピーできないからですよね。

 ――以前からサーバーへのアクセス権に課金しろと主張されていますね。なぜそれが広がらないんでしょう。

 サーバー型のアクセス権で、ソーシャルゲームはぼろもうけしているわけですよね。既存のコンテンツ業界がなぜそれができないのかというと、それはなんだかんだいってもパッケージコンテンツのビジネスサイズがでかいからですよ、それは。そのビジネスを捨てられないから。変えるのが難しいというのが根本的な理由ですよね。

「経営統合は作家に対しての強力な説得材料になる」

 ――KADOKAWAと一緒にやるということでは、そっちの方向に一緒に行きましょうと。

 はい。やっぱり変えるのは難しいんですよね。コンテンツを変えるということは、作者が変えなきゃいけないから。キラーコンテンツを生み出す偉い作者ほど、新しいことをやってくれない。

 ――経営統合してから、その方向はどんどん進んでいますか。

 それは簡単じゃないんです(笑)。まあ、やりやすくなるんじゃないですか。経営統合で、説得もしやすくなりますからね。作家に対して強力な説得材料になるので。

 ――既存の業界がパッケージのコンテンツを捨てられない、というのはなぜでしょう。

 彼らにとってみるとヒット作品が大事で、特に作家さんが強い作品はそうですけど、その編集者がいて、作家がいるって業界って、書籍もそうだし、CDもゲームもある程度は近いところがあるのかな。要するに、作っている先生を一生懸命接待して機嫌よくしてもらって作ってもらって、ヒットした、わーもうかったっていう世界じゃないですか。この世界で、新しいコンテンツを作ってもらうのはどんだけ大変かってことですよね。

 ――先生へのお膳立てが大変だと。

 今までと違うことやるわけでしょ、それって難しいですよ。今までと同じことやっていたら、儲かるわけだから。トップクラスの人ほど、(収入が)減っても、それでも十分儲かっているわけですよ。食えなくなると新しいことやろうかなって思うんだけど、本当はヒット作家に新しいことやってもらいたいわけじゃないですか。でもそれは、力関係的に今までのビジネスの構造からいうとやりにくい。

 ――少しずつ説得したりという地道な活動が必要になるわけですね。

 それしかない。それで、すぐに売り上げが上がるかというと、そうでもない。すると儲からないことを頼むことになっちゃうわけですよ。結局何も改革ができないとなる。

経営統合の会見後、記念撮影に応じる(左から)KADOKAWAの松原真樹社長、角川歴彦会長、佐藤辰男相談役、ドワンゴの川上量生会長、荒木隆司社長=2014年5月14日、東京都内、関田航撮影

経営統合の会見後、記念撮影に応じる(左から)KADOKAWAの松原真樹社長、角川歴彦会長、佐藤辰男相談役、ドワンゴの川上量生会長、荒木隆司社長=2014年5月14日、東京都内、関田航撮影

出典: 朝日新聞


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 川上会長は27日、グローバルな時代の知的財産戦略をテーマとした「IP2.0シンポジウム」(角川アスキー総合研究所主催)のパネル討論に登壇します。イベントの詳細や申し込みはこちら。

IP2.0シンポジウム 〜未来の”モノ”・”コト”を創出する新パラダイムへの提言〜 | 角川アスキー総合研究所|Kadokawa Ascii Research Laboratories, Inc.


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