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セーラー服おじさん、実はスゴイ人だった 特許・英語力・CNN

およそ女子高生には見えない51歳の男性。3年前にセーラー服を着て街へ出たことから人生が一変した。いったい彼は何者なのか?

セーラー服おじさん=岩切等さん撮影、小林さん提供
セーラー服おじさん=岩切等さん撮影、小林さん提供

目次

およそ女子高生には見えない51歳の男性。3年前にセーラー服を着て街へ出たことから人生が一変した。「セーラー服おじさん」こと小林秀章さんは、平日は大手企業で働くエンジニアだ。

週末にセーラー服姿で渋谷や新宿を歩けば、道行く人に呼び止められ写真撮影をせがまれる。塾の公開授業では人生について語り、流れるような英語でCNNのインタビューにも答えた。

いったい彼は何者なのか?

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エンジニアとして特許も

早稲田塾×セーラー服おじさん×Ladybeard「3講座無料ご招待」CM


落ち武者のような白髪に、編み込んだ仙人のようなヒゲ。セーラー服姿でプロレスを披露――。YouTubeにアップされている早稲田塾のCM動画だ。なぜ小林さんが塾のCMに選ばれたのか? セーラー服を着たおじさんが受験生に語って説得力はあるのか? 企業イメージを損なうことにならないか? 早稲田塾に聞いてみた。

「大学合格は通過点に過ぎません。社会に出てからの実力発揮こそがテーマです。見た目のインパクトと中身のギャップもさることながら、小林さんはこのテーマにピッタリだと思い、起用しました」

何とも大胆だ。小林さんを招いて「Rich&Happy 人生のススメ」というタイトルの特別公開授業を開いたり、「卒業生のつどい」に招いて英語でスピーチしてもらったり。「つどい」で小林さんは、携帯電話のカメラ機能に関する特許技術を開発したことを明かし、こう訴えた。「自分なりの方法で世界に貢献しよう。自分の頭を使って、どうやって貢献できるか考えよう」

きっかけはラーメン無料

セーラー服おじさん=岩切等さん撮影、小林さん提供
セーラー服おじさん=岩切等さん撮影、小林さん提供


小林さんにプロフィールを聞いてみた。

早稲田大学の理工学部数学科に入学し、修士課程を経て印刷会社へ。平日は画像処理ソフトウェアのエンジニアとして働いている。

セーラー服を着て初めて街へ出たのは2011年6月。神奈川県のラーメン店の「30歳以上でセーラー服を着て来店したらラーメン一杯タダ」という企画がきっかけだった。

花見の席で着てみたり、東京ビッグサイトで開かれたアートイベントで着てみたりという経験はあったが、着たまま外出するのは初めてだった。

ラーメン店に行ったときのことを、こう振り返る。

「結局、自分への言い訳が必要だったんだと思います。ラーメンを食べに行く目的があってのことなんだ、と。人に聞かれたら、ちゃんと答えが用意してあるんだ、と。必死に自分を説得してました」

セーラー服を着て街へ出たい、という欲求を自分の中で正当化する口実だった。

やってみると、何も起きなかった。改札を通るとき、駅員は何も言わなかった。電車に乗っても、みんな普通で波風は立たなかった。

こんなにスルーされるのか? これが都会なのか?と驚いた。

これを機に裁判を傍聴してみたり、セーラー服でフランスや中国に行ってみたり。活動はどんどん広がっていた。

セーラー服「カワイイという記号の組み合わせ」

セーラー服おじさん=岩切等さん撮影、小林さん提供
セーラー服おじさん=岩切等さん撮影、小林さん提供


夏服3着と冬服2着を着回している。ところで、なぜセーラー服なのか?

「ただ、カワイイものを着たいだけなんです。セーラー服ってカワイイという記号の組み合わせで出来ているんです。私は女性になりたいわけではありません」

その後、「会うと幸せになれる」という都市伝説が生まれ、記念撮影を求められるようになった。

「自分でカメラを持ち歩かなくても、家に帰ってからネットで検索すれば写真が確認できるんです。便利でしょ」

自宅に戻ると、「セーラー服」「おじさん」といったキーワードを組み合わせて自分のことを検索する。自らへの評価や非難を確認する行為は欠かさない。

撮影を求められると手を広げたり、招き猫のようなしぐさをしたり。最初はぎこちなかったそうだが、「カワイイ」と言われ続けることで様になってきたという。

「専門用語で『ピグマリオン効果』といいます。人は周囲の期待したとおりのものになっていくというやつです。みなさんもかわいくなりたかったら、まわりの人から「カワイイ」って言ってもらえばいいんじゃないかと思います」

「もう丸裸。伸びきった」

左手薬指には指輪をはめていた。「相手は二次元です。『ローゼンメイデン』という漫画・アニメ作品の真紅という人形キャラです」
左手薬指には指輪をはめていた。「相手は二次元です。『ローゼンメイデン』という漫画・アニメ作品の真紅という人形キャラです」


早稲田塾のCM動画では英語も披露。ウワサを聞きつけたCNNの取材にも答え、セーラー服おじさんは世界に発信された。

「英語はインターネットで海外の人とやりとりするのに必要だったので勉強しました。TOEICは970点を取ったことがあります。ほとんどマニアです」

見た目からは想像できない部分が明らかになるにつれ、人気は高まっている。

「実はちゃんとした人だった、って出て持ち上げられ過ぎです。もう丸裸にされちゃって、伸びきったかなと思ってます。だって、本当のスターはちゃんとした芸をもっていて、それが評価されて人気になるわけですから。私はただのセーラー服を着たおじさんです」

     ◇

9月7日には渋谷ヒカリエで高校生とのディスカッションを予定している。

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